#012 - Olympic Decathlon2008-06-14

スポーツミニゲームの原点

Olympic Decathlon - タイトル画面
今年(2008年)はオリンピックイヤー。 そこで、タイトルにオリンピックを冠する「Olympic Decathlon」(Microsoft:1981)を紹介したいと思います。
このゲームは 陸上の十種競技(デカスロン)のゲームです。 十種競技は 日本ではマイナーであるため、雑誌で紹介された当時 「いろいろな陸上競技のゲーム集」と思った人も多いと思います。 私も山田芳裕氏の漫画「デカスロン」(講談社:1992-1999)を読むまで 十種競技がどんなスポーツか、全く知りませんでした。
十種競技を知った上で改めてこのゲームを見てみると、競技の特徴をとても上手く再現していたことがわかりました。

HOW TO PLAY

Olympic Decathlon - 全競技スクリーンショット集:クリックすると拡大して再生します
十種競技は、2日間で十種目の競技を行って、その記録を得点換算して合計得点を競います。 このゲームでも実際の競技と同じ順番でプレイをしていきます。
タイトルアニメーションのあと、Olympic Anthem(オリンピック賛歌)をバックにゲームの説明文が表示されます。 十種の競技を全て行う試合モードと、好きな競技を選択して遊ぶ練習モードの2種類があります。 試合モードではプレイヤーは名前を入力し、最大で6人まで遊ぶことができます。 複数人で遊ぶときは、競技によっては(100m走など)2人同時で遊ぶものもありますが、基本的に交替しながらプレイをします。
以下は、1人でプレイするときのキー操作の説明です。

■第1種目:100m
[1][2]キーを交互に連打して走ります。 連打スピードが速いほど、走るスピードが速くなります。 フライングを2回すると、記録無効(0点)となってしまいます。

■第2種目:走り幅跳び (Long Jump)
助走スピードを数字で入力します(700~1000cm/sec)。 [Space]で助走を開始し[X]で踏み切ります。 踏み切るとスローモーションになり、体がゆっくりと傾斜していきますので、好みの角度のところで[Return]を押して、ジャンプをします。 助走スピードが速いほど距離が伸びますが、踏み切ったときに勢い余って前にスライドしてしまいますので注意しましょう。

■第3種目:砲丸投げ (Shuot Put)
とても変わった操作をするゲームです。 パドル(アナログコントローラー)を使い、 三角筋(Shoulder)と三頭筋(Triceps)の力を0~100%の間でコントロールします。 2つの筋力を0%にすると投てき開始です。 Shoulderの筋力は垂直方向に、Tricepsの筋力は水平方向に働きます。 アナログコントローラーで、それぞれの筋力を調整していくと、それに合わせて腕が動きます。 持ち上げつつ、前に押すように腕を動かす(つまり、Shoulderの筋力値を先に上げつつ、Tricepsの筋力を上げる)と遠くに投げられるようです。 3投し、最も良い記録が得点となります。

■第4種目:走り高跳び (High Jump)
バーの高さは135cmからスタートです。 135cmからジャンプしても良いですし、任意の高さまでパスをしてジャンプすることもできます。 バーの高さは15cmずつが上がっていきます。 ただし210cm以降はパスすることができません。 高さを決定した後、3回までトライできます。 操作は走り幅跳びと似ています。 [Space]で助走を開始し[X]で踏み切ります。 踏み切るとスローモーションになり、体がゆっくりと傾斜していきますので、好みの角度のところで[Return]を押して、ジャンプをします。 ちなみにモーションは背面飛びです。

■第5種目:400m
100m走と操作は同じです。 トラック一周を[1][2]キーを交互に連打して走ります。 プレイすると、後半は本当に指が疲れますので、400m走は最も過酷…という競技での気持ちが味わえるのではないかと思います。

■第6種目:110mハードル
2つのジョイスティックコントローラーが必要です。 コントローラー1とコントローラー2のボタンを交互に押すことで走ります。 そしてボタンを長押しするとジャンプをします。 ハードルを2つ倒すと、記録無効になります。 3歩めでジャンプ、というペースで走るのがよいでしょう。 なぜこんな変則的なコントローラーの使い方をするかと言うと、AppleIIのキーボードにはリピート機能がないため、「押しっぱなし」を判定するにはジョイスティックのボタンを使うしかなかったからです。

■第7種目:円盤投げ (Discus Throw)
回転するパワーを入力後(75~100%)、[Space]で回転を開始します。 そして[Return]で円盤をリリースします。 パワーが高いほど回転するスピードが速くなります。 リリースするタイミングを間違えると、円盤がフェンスに激突し、フェンスが大きく揺れるのがリアルです。

■第8種目:棒高跳び (Pole Vault)
バーの高さは360cmからスタートです。 ルールは走り高跳びと同じです。 465cm以降はパスすることができません。 ポールをグリップする位置(350~490cm)と、助走距離(20~80m)を決めてから開始します。 [←][→]を交互に連打して走ります。 そして[1]でポールを地面に差してジャンプを開始、[2]で空中で足を上げ、[Return]でポールを離します。 ポールを差すタイミングが難しいのですが、かといって助走スピードが十分にないと、なかなか垂直までポールが立ちません。 十種競技の中で最も技術が必要な競技なのは、このゲームでも同じです。

■第9種目:やり投げ (Javelin Throw)
[←][→]を交互に連打して走り、[T]で構えます。 そして[Return]キーで槍を投げます。 [T]を押してから、[Return]キーを押すまでの時間の長さに応じて投てき角度が変わります。

■第10種目:1500m
最終種目の1500m走では、ボタン連打ではなく、カーレースゲームのような操作をします。 プレイヤーは、自動的に走りますので、[Z][S][W][A]の4つのキーで、進行方向を変えます。 コースアウトしないで走り続ければ、どんどん加速していきます。 しかし、コースの外周に接触すると停止し、スピードが一気に下がってしまいます。 コースアウトしないように、トラックを3週半します。

STRATEGY

このゲームにはノルマのスコアもありませんし、CPUが操作するライバルもいません。 一人で遊ぶときは純粋にスコアが何点まで行くかストイックに努力するだけです。 ですので、多人数でワイワイと競って遊ぶのが、正しい楽しみ方だと思います。 1種の競技でミスをしても、他の競技で高記録を出せば逆転することが可能ですので、あきらめることなく10種の競技を全て遊なないと、楽しくありません。
実際の競技で筋力を使うものは連打系、技術が要求されるものはタイミング系、持久力が必要とされるものは集中力系 のゲームに仕立てていますので、自分の得意な競技で得点を稼ぐか/あるいは苦手な競技をいかにソツなくこなすか、相手の得点を見つつプレイしていく事が重要です。 この駆け引きはまさに「十種競技」です。

IMPRESSION

「ハイパーオリンピック」(Konami)
私はこのゲームのグラフィックがとても「硬質」で気に入っています。 キャラクターはシルエットだけでシンプルですが、非常に写実的です。 モーションも、リアルに出来ていると思います。 1コマ1コマの絵が、まるで体育の教科書にある挿絵のような印象です。 十種競技を、真面目にゲーム化しようとしている作者の意気込みが感じられます。 110mハードルや1500mなどの一発勝負の種目では、すぐにゲームを開始せず、プレイヤーにスタートラインに着くまで操作をさせてからゲームを開始します。 そのあたりの気配りも とても素晴らしく思いました。
「ハイパーオリンピック」(Konami:1983)や「Summer Games」(Epyx:1984)の原型となったのみならず、「多人数で遊べるミニゲーム集」としても、最も初期のタイトルと言えるでしょう。
ちなみに「ハイパーオリンピック」は、100m、やり投げ、ハンマー投げ、走高跳び、110mハードル、走り幅跳びの6種目で、クオリファイ(予選通過基準)を満たすと次の競技満たないとゲームオーバーという仕様でした。

APPENDIX

Olympic Decathlon - Bruce Jenner
オープニングで表示される Bruce Jenner選手 とは、モントリオールオリンピック(1976年)で当時世界最高得点(8618点)を記録したアメリカの選手です。 漫画「デカスロン」でも登場したDaley Thompson選手(英国)は1980年5月にこれを上回る得点(8622点)を出しているのですが、あえて Bruce Jenner をフィーチャーするあたりがアメリカのプライドなのかも知れません。
「Olympic Decathlon」は後に「Microsoft Decathlon」と改名され、IBM-PC版もリリースされています。
参考までに、1976年のBruce Jenner氏の記録と、今回のレビュー時の私のプレイ記録、そして 漫画「デカスロン」の風見万吉が日本選手権でデビューした際の記録をまとめます。 なお、十種競技の得点換算テーブルは1985年で改定されたそうです。 風見選手の得点は、改定後のテーブルから換算されたものとなります。
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name     |   100    LJ     SP    HJ    400   110h     DT    PV     JT    1500   |  TOTAL
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B.Jenner | 10.94  7.22  15.35  2.03  47.51  14.84  50.04  4.80  68.52  4:12.6   |  8618
mor      | 11.30  6.26  17.60  1.95  48.60  16.00  43.00  3.75  58.90  4:14.0   |  7743
M.Kazami | 10.62  7.58  14.87  2.14  47.70  18.75  44.62  3.20  70.02  4:00.2   |  8004
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タイトル
Olympic Decathlon
発表年
1981年
作者
Timothy W. Smith
プラットフォーム
AppleII
パブリッシャー
Microsoft
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