#013 - Enduro2008-06-23

黄昏から夜明けまで

Enduro
「Enduro」(Activision:1983)はAtari2600用3Dレースゲームです。 私がこのゲームに興味を持ったのは作者が Larry Miller氏だからです。 Miller氏はAppleII用3Dシューティング 「Epoch」「Hadron」(Sirius Software:1980)の作者です。 「Epoch」と「Hadron」は高速な三次元描画を実現した画期的なゲームでした。 「Enduro」ではさらに新しいグラフィック表現にチャレンジしています。

HOW TO PLAY

Enduro - 画面説明
ジョイスティックで車を操作します。 スティックの左右で、左右にステアリングを切ります。 ボタンはアクセルです。 押しっぱなしにするとぐんぐん加速していきます。 ボタンを離すと、その時の速度を維持します。 スティックを下に入れると、ブレーキがかかり、減速します。
ルールが少し変わっています。 コースを周回するのではなく、ラリーのように終わりなき道を走り続けます。 そして、1日のうちに200台、車を追い抜かなくてはいけません。 他の車に衝突すると、後ろに弾き飛ばされて、スピードが大幅に落ちてしまいます。 道の左右端に接触しても減速してしまいます。 他の車を避けつつ、ひたすら走るゲームです。 画面の下には、あと何台追い抜かなくはいけないか、数字で表示されます。 走行距離はオドメーターで表示されます。
さて、「1日のうちに」とありますが、時計が表示されるわけではありません。 このゲームでは背景のグラフィックスで時間を表現しています。 昼→夕焼け→夜→薄暮→朝→… と、背景が刻々と変化します。 夜間は、他の車はテールランプしか見えません。 そして再び昼になった時点で、200台抜いていなければゲームオーバーとなります。 残り時間がわずかになると、警告音もなり始めます。
ノルマの台数を抜き終えると、緑色のフラッグが表示されます。 2日目以降はノルマが300台となります。

STRATEGY

Enduro - 1日の背景の変化:クリックすると拡大して再生します
他の車に衝突すると、後に弾き飛ばされて速度が大幅に落ちてしまいます。 そして他の車に次々と追い抜かれます。 追い抜かれた台数だけ ノルマの数字も増えてしまいますので、車と衝突することはできるだけ避けたいところです。 道の左右端にぶつかっても、減速はしますが後ろに弾かれません。 そのため車に衝突するくらいなら道端にぶつける…という考え方でプレイするのがよいと思います。 他の車の動きは直線的ですので、動きの予測は簡単です。 複数の車が並んで抜きにくいときには、あえて減速をしてタイミングを測る、というテクニックも有効です。
時間経過とともに天候も変わります。 雪道ではスリップするので、ハンドル操作が非常に難しくなります。 そして霧がかかると視界は極端に狭くなります。 ただし、コースのパターンは固定で、常に以下の順です。
[start] → [昼] → [雪] → [夕] → [夜] → [霧] → [夜] → [薄暮] → [end]
[start]から[end]まで(つまりこのゲームの1日)を実測したところ、約3分40秒でした。 1日のうち背景がどのように変化するか アニメーションを作成してみましたのでご覧下さい。(右上写真)

IMPRESSION

Enduro - フォグの表現に注目!
私はこのゲームのフォグ(霧)の表現を初めて見たとき、歓声をあげてしまいました。 遠くになるにつれて背景がかすみ解けてゆく手法を、この時代に挑戦していたとは驚異的です。 霧ステージ以外でも、道をみると遠方と近くで線の色を変えています。 おそらくここでも空気遠近法を狙っていたのではないかと思います。
画面全体のカラーチェンジで、1日を表現しているのも当時としては珍しい試みであったのではないでしょうか。 夕方→黄昏→夜にかけてのパターン数の多さに拘りを感じます。
肝心のゲームの方は、非常に高速です。 エンジン音も迫力があります。 雪でハンドルを取られる感覚まで再現しているのも芸細です。 さすがに現代遊ぶには単調なゲームと感じてしまいますが、当時はこの内容でも画期的であったはずです。

APPENDIX

Enduro - 200台抜き達成! フラッグが祝福
このゲームは5面クリアをするとエンディングを向かえます。 Activision社のゲームなので、 「Kaboon!」 と同じくエンディング画面の写真を送ると、"Roadbusters" と書かれた Patch(ワッペン)がもらえたということです。
さらに、自動車 Datsun 280ZX を賞品とした大会 "Enduro Race-For-Riches Sweepstakes" も行われました。 当時の熱狂振りが伺えるエピソードです。 Larry Miller氏は物理学の博士号を持つプログラマーで、AppleIIでは 「Epoch」 「Hadron」、そして 「Minotaur」(すべてSirius Software)、Atari2600では他にも 「Spider Figher」を手がけています。 「Epoch」と「Hadron」については筆者のサイト(Historyのコーナー)にも解説がありますが、当ブログでも改めて紹介をする予定 です。

タイトル
Enduro
発表年
1983年
作者
Larry Miller
プラットフォーム
Atari2600
パブリッシャー
Activision
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